2019/07/31
カイオムニュースレター(Vol.1)
米国癌学会ポスター発表 ~CBA-1205 動物モデルで強い薬効を示す~
2019年4月1日から3日までアトランタで開催された米国癌学会(AACR)において、創薬研究所長の中村がポスター発表を行いました。
米国癌学会(AACR)は年に一度、がんに関連する分野の研究者が一堂に会して、研究成果について議論を交わす場です。
今年も基礎・臨床の分野をまたいで重要な研究成果が発表され、世界中から21,000人を超える参加者と5,600以上の演題が集まりました。
2019年3月29日から4月3日までアトランタで開催されたAACR2019では、当社の創薬研究所長の中村が、CBA-1205の研究成果を発表いたしました。(写真)
CBA-1205は肝がん、肺がんなど多くの固形がんの細胞表面に発現するたんぱく質、DLK-1を標的とするヒト化モノクローナル抗体です。
CBA-1205は標的細胞に結合すると、免疫細胞を呼び寄せ標的細胞を殺します。
AACRにおける発表では、この抗体により標的細胞を殺す能力(細胞傷害活性)について試験管内で再現した結果を示しました。
また動物試験において、ヒトがん細胞を移植したマウスにCBA-1205を投与し、がん細胞が縮小した結果を示しました。
なかでも、10mg/kg投与群では全てのマウスでがん細胞が縮小し、4例ではがん細胞の消失が確認されました。
現時点で、DLK-1を標的とする治療薬は上市されておらず、臨床開発に進んでいる治療薬候補もありません。
当社では、これまでの基礎研究および前述のような前臨床試験において示された薬効試験の結果に立脚し、2020年以降に予定している臨床試験の開始に向けて、着実に準備を進めてまいります。
肝細胞がん
CBA-1205の開発適応症の一つとして考えられるのは肝臓がんの多数を占める肝細胞がんです。
肝臓は「沈黙の臓器」といわれており、がんに関しても初期の自覚症状がほとんどなく、一定以上がんが進行することで初めて症状が出現します。
肝細胞がんの生存率は他のがんに比べて低く、治療薬への満足度が低い疾患です。