Technologyテクノロジー

Glossary用語解説

あ行

  • アンメットニーズ

    現状の医療では満たされていない(未充足)ニーズのことです。具体的には、有効な治療法や薬剤がない場合、薬剤があっても使い勝手が悪い、または副作用が強い、一時的に症状を抑えても再発する、時間とともに悪化するというような場合、あるいは治療費が非常に高額になるような場合等に、アンメットニーズが存在するといいます。

  • ADLib®(アドリブ)システム

    ニワトリ細胞をもとにして作製された細胞株であるDT40細胞のもつ抗体遺伝子の組換えを活性化することによって、抗体タンパクの多様性を増大させ、特定の抗原を固定した磁気ビーズで特異的抗体を産生する細胞をつり上げる仕組みです。理研で開発された技術で、当社はその独占的な実施権を保有しております。既存の方法に比べ、迅速性に優れていること及び従来困難であった抗体取得が可能であること等の点に特徴があると考えております。

  • インターナリゼーション

    抗体が抗原と結合後、細胞内に取り込まれる現象をいいます。
    図

  • ADC抗体

    抗体薬物複合体のことを指します。ADC抗体の特長は、悪性腫瘍や炎症性疾患等の目的の組織や細胞表面タンパク質(抗原)に特異的に結合する抗体に抗がん剤などの薬物を結合させることにより、薬剤を病変部位に選択的に到達させ、細胞内に放出させることでがん細胞等を死滅させることができます。

か行

  • 抗原

    通常、細菌やウイルスの持つタンパク質等、体内で異物と認識され、抗原抗体反応を起こさせる物質のことを抗原と言います。抗原が体内に入ると、これを撃退するための物質として抗体が作られ、抗原を排除するために働きます。さらにこの意味から派生して、抗体に結合する物質、あるいはこれから抗体を作製したい物質全般を、抗原と呼ぶこともあります。

  • 抗体医薬

    ヒトには体を守る防御システムが備わっています。すなわち、細菌やウイルスの持つタンパク質を異物(抗原)として認識し、その異物に反応するタンパク質(=抗体)を作って異物を攻撃・排除する仕組み(抗原抗体反応)です。ヒトが本来的に持つこの反応を生かした医薬品が抗体医薬品(抗体医薬ともいわれます。)です。

  • 抗体遺伝子座

    遺伝子座とは、染色体やゲノムにおける遺伝子の位置のことをいい、抗体遺伝子座とは、ゲノムの中で抗体を形作る遺伝子が存在する場所のことを示します。

さ行

  • セレクション

    様々な抗体を発現する細胞集団から、抗原特異的な抗体を発現する細胞を選択することをいいます。

  • 相同組換え

    相同組換え(相同的組換え)は,DNAの塩基配列がよく似た部位間で起こる遺伝子の組換えメカニズムのことをいいます。 様々な化学物質や放射線により切断されたDNAは主に相同組換えによって修復されます。また、相同組換えがうまくいかないと精子や卵子が形成されなくなる等、生命が存続するために不可欠な仕組みの一つです。DT40における抗体遺伝子座の相同組換えは、抗体遺伝子の多様化を創出するための仕組みとして機能しています。

た行

  • DT40細胞

    ニワトリのファブリキウス嚢(鳥類に特有な一次免疫器官)から取り出され、実験的に不死化されたB細胞(抗体を産生する細胞の一種)です。このDT40細胞株の抗体遺伝子座において起こるDNA組換えを人為的に活性化することによって、多様な抗体を産生する細胞集団(ライブラリ)が得られます。これがADLib®技術の基になっています。

  • 動物免疫

    動物に抗体を作らせる方法のことです。抗原タンパク質や抗原タンパク質を発現する細胞などを注射すると、その動物の免疫反応により体内に抗原に対する抗体が作り出されます。

  • トリコスタチンA(TSA)

    ニワトリDT40細胞にクロマチン弛緩を誘導するために利用する薬剤で、ヒストン脱アセチル化酵素という種類の酵素の働きを阻害する働きがあります。

な行

  • Naked抗体

    ADC抗体とは異なり、特別な修飾など加工をしていない(飾りつけていない)抗体のことをいいます。

は行

  • パイプライン

    新薬候補として研究・開発している医薬品開発候補を意味します。

  • ヒトADLib®

    ヒト抗体を分泌させるADLib®システムにより、DT40細胞で直接ヒト抗体を作製することが可能です。
    当社のオリジナルADLib®システムはトリの細胞から作られているため、得られる抗体はトリ型です。それに対し、分子生物学的手法によってトリ抗体の遺伝子配列をヒト抗体の遺伝子配列に置換したものがヒトADLib®です。ヒトADLib®システムを用いることで、直接ヒト抗体を作製することが可能です。

  • ヒト型化された抗体

    人の抗体に似ていますが、一部他の動物由来の構造を保持する抗体のことを言います。

  • B Cell Cloning

    抗原をトリやマウスなどの実験動物に免疫した後、その動物からB細胞を含む脾臓やリンパ節を取りだし、目的の抗原に結合する単一のB細胞を選択(クローニング)する手法のことです。

  • B細胞

    リンパ球の1種で骨髄由来の細胞です。抗原の侵入に応答して増殖し、抗体(免疫グロブリン)を生産する細胞へと分化して抗体を産生します。

  • ベスト・イン・クラス(Best in class)

    同一薬効、同一メカニズムの医薬品としては二番手以降ですが、薬効や安全性などの点で先行品より優れている新薬のことをいいます。

  • ファースト・イン・クラス(First in class)

    その機序の医薬品の中で、市場に最初に登場した医薬品のことを指します。日本では、画期的新薬、ピカ新などと呼ばれています。類似薬がないことから高い薬価と高い売上が期待できますが、その反面、既存品の模倣ではなく、新しい構造の化合物を独自に創出する必要があるため、研究開発の難易度が高く、コストもかさむ傾向があります。

  • ファージディスプレイ法

    遺伝子工学的手法でファージ(細菌に感染するウイルス)粒子に多様な抗体タンパク質の抗原認識部位を発現提示させ、抗原と反応するファージを回収して、モノクローナル抗体を作製する方法です。なお、同じ操作を複数回繰り返すため必要な抗原量が多くなり、かつ作製に時間を要します。

ま行

  • マウスハイブリドーマ法

    最も一般的なモノクローナル抗体作製技術です。動物個体を使うことから、必要な抗原量や抗原の適応範囲等に制約があり、かつ作製に時間を要します。

  • 免疫寛容

    自身の体の構成成分やそれに似ている構造を持つ抗原に対しては、これが異物とみなされないために体が免疫反応を示さず、体内で抗体を産生しない状態をいいます。

  • 免疫反応

    生体が外来性あるいは内因性の物質に対して自己か非自己かを識別し、非自己の物質を排除することで、個体の生存維持のために起こす一連の生体反応をいいます。

  • モノクローナル抗体

    単一の抗体分子を産生する細胞から得られた抗体のことをいいます。特定の性質を持つ抗体を大量に産生することが可能であり、抗体医薬品の開発にも利用されます。

ら行

  • ライブラリ

    ADLib®システムでは、多種多様な抗体を産生する細胞集団のことをライブラリと呼びます。ライブラリに含まれる細胞が産生する抗体の種類が多いほど、目的に合った抗体を取得できる確率が高くなります。当社では、トリライブラリ、マウスキメラライブラリ、ヒトライブラリを所有しており、顧客ニーズに合わせてライブラリを選択し、抗体作製を行っています。